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親族里親

里親入門

ffファミリーグループ・カンファレンス入門(林浩康、鈴木浩之編著)から抜粋して、とりまとめました(アメリカの場合を除く)。

親族里親の広がり

ニュージーランドの先住民族、マオリ族の風習(実親による養育が困難な場合、同じ部族の人たちが育てる)をベースに、ニュージーランド、オーストラリア、イギリス、アイルランド、アメリカへと広がっていったものである。 

社会的養護全体に占める親族里親の割合は、イギリス18.0%、アイルランド33.0%、アメリカ23%、オーストラリア40.0%、ニュージーランド35.0%と増加傾向にあるが、日本では0.6%にすぎない(2012年現在)。 

ファミリーグループ・カンファレンスの制度化

ファミリーグループ・カンファレンスは、虐待やネグレクトにより親子分離が必要とされた場合に、すみやかに子どもにとって身近な親族、知人と親、時には子どもも情報共有のもと、一緒に話し合い、どこで過ごすかを決めるもので、上記の各国ではその活用が制度化されている。 

例えばニュージーランドではパーマネンシー保障の概念から、5歳未満の子は6か月、5歳以上の子供は1年を限度に親子分離がなされ、その限度を超えて家庭復帰が無理な場合は、再度ファミリーグループコンファレンスが開催され、こどもの永続的居住場所が決定される。

日本の現状

日本の場合にはファミリーグループ・カンファレンスが制度化されていないこともあり、子どもが児童相談所(子どもの安全・福祉について判断する機関)によって親子分離されることを、状況が変わらない限りは自分たちのところに子どもが戻ってこないことを親が受け入れたところから、この協議は始められる。児童相談所によりすでに親子分離されたケースにのみ、親族里親の適用を認める都道府県もあり、実状はきびしいものがあるのではないか。 

親が状況を受け入れるには、ソーシャルワーカーによる親への発言の仕方が重要で、児童相談所では児童福祉司がその役割を担う。一方的に親を非難することはせず、できるだけ親に寄り添い、一方で措置が必要で避けられないことはきっちり伝える。 

子どもが理解できる年齢の場合、なぜ親から引き離されたか、子どもに対しても納得のいく説明を行っていることが前提となる。 

ファミリーグループ・カンファレンスの流れ

次に、親の同意のもと、児童相談所から親族・知人に声掛けをして、ファミリーグループ・カンファレンスを開催する。 

カンファレンスではケースワーカーによる事情説明から始まるが、協議においてはケースワーカーは途中から参加せず、ファミリーグループに判断をゆだねる。 

そこで判断されたプランを児童相談所が尊重することが前提となる。祖父母が引き取った場合には一般生活費のみ、それ以外の者が引き取った場合には里親養育手当も支払うこととなる。 

状況が変われば、子どもが親のところに戻る可能性があるわけだが、児童相談所とファミリーグループの監視のもとで、認められてはじめて戻すことが可能となる。 

アメリカの場合

生みの親>親戚>知人・友人>知らない人 

アメリカでは子どもが引き離されるときに、生みの親は必ず、「親戚に誰か子どもを見てくれる人はいませんか」って聞かれる。それは子どもは家族の中で暮らす権利があるから。できるのであれば家族の中でとどまってほしい。もし親戚がいないというのであれば、血がつながってなくても知っている方、家族ぐるみの友人の方で、それをやってくださる方はいませんか。それでも駄目なら第3者である、血のつながっていない里親のところに委託されるようになる。この優先順位も、子どもが自分の家族内で暮らせるように、パーマネンシーに配慮した形になっている。 

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